これまで様々に報じられてきた米フェイスブックの資金調達の内容が具体的に明らかになった。同社は1月21日、いつものようにブログではなく、プレスリリースという同社としては異例の形で総額15億ドルを調達したと発表した。
それによると同社は昨年12月に米ゴールドマン・サックス・グループとロシアのデジタル・スカイ・テクノロジーズ(DST)から企業価値500億ドルという評価で5億ドルを調達した。これは事前の報道通りだった。
そして残りの10億ドルは、ゴールドマンが設立したファンドを通じて調達した。
これまでの報道ではゴールドマンが実施する私募を通じて15億ドル調達するとされていたが、フェイスブックはプレスリリースの中で「最大15億ドルを受け入れられることになっていたが、当社の判断で10億ドルにとどめた」と説明している。
応募が殺到、50億ドルの調達も可能だった
ゴールドマンは今回、特別目的会社を組成して投資を募ったわけだが、情報に詳しい関係者の話によれば同社は最大50億ドルの資金調達が可能だったという。
ゴールドマンは今回、私募対象を米国以外の投資家に限定した。米国証券法では、私募証券に関して公の勧誘や宣伝を行ってはならないという規定がある。
今回フェイスブックの未公開株を巡って報道が過熱したため、この規定に抵触する恐れがあると判断したからだ。それでも、米国外から注文が殺到し、応募は募集額を超えた。投資家が我先にとフェイスブック株を手に入れようとしたという。
こうしてフェイスブックには潤沢な手元資金が入ったわけだが、同社はこれを何に使うのだろうか。
同社が前回大規模な資金調達を行ったのは2009年の半ば。企業価値100億ドルという評価で、DSTから総額3億ドルを調達した。この時の資金は、人材獲得を目的とした小規模な買収や、データセンターの構築に投じたと言われている。
使い道のないお金
しかし今回の資金については、発表資料で「使途については当面の具体的な計画はない」としており「この話はDSTとゴールドマンから持ちかけられたもので、手元資金を増強し、財務的な柔軟性を高められる魅力的な機会だと判断した」とだけ述べている。
特段資金の使い道のないフェイスブックにとってはこれほどの金額は不要と言えるが、1月19日付のウォールストリート・ジャーナルの記事はその背景について触れている。