フェイスブック、出会い機能を導入へ CEOが発表

フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEO。フェイスブックの広告枠がロシアの世論誘導工作に利用されていた(2018年5月1日撮影、資料写真)。(c)Justin Sullivan/Getty 〔AFPBB News

 2016年のアメリカ大統領選前後の2年間に、ロシアはフェイスブックの広告枠を購入して対米心理工作の記事を発信していた。5月10日、米下院情報委員会のアダム・シフ議員ら民主党議員グループが、それらの3517点の記事の保存データを公表した。

 フェイスブックはビジネスとして、一般ユーザー向けから特定の地域や職業向けなど、細かなカテゴリーに分類されたユーザーに配信できる広告枠を販売している。それを購入すると、あたかも一般の投稿のようなイメージの記事を、狙った層のユーザーに届けることができる。対象カスタマイズ型の広告機能といえるが、ロシアはそれに目をつけ、米大統領選で有権者の投票行動を操作していたのだ。ちなみに、これらの広告の料金は、1本につき平均して約20万円が支払われていたという。

投票者の心理に働きかける洗練された工作

 その保存データをみると、ロシアは当初こそ、フェイスブックのユーザー全体に向けた広告枠を使っていたが、大統領選が近づくにつれて、一部の地域の一部の職業従事者を対象とした枠に集中していったことが分かる。いわゆる激戦区でブルーカラー層、特に黒人とのトラブルなどで批判された警察を擁護する言説を好む20歳から65歳までの層を中心に狙い撃ちし、ヒラリー・クリントン候補に不利になるように、計算された心理工作を展開していったわけだ。

 しかし、その投稿のほとんどは、直接は大統領選に言及していない。米有力紙『USAトゥディ』の分析によると、内容的には多い順に「人種差別」(全体のなんと55%。ちなみに影響力の指標として、FBユーザーのデバイス全体での表示総数をみると、計2480万回に及んでいる)、「犯罪と警察関連」(24%。同じく880万回表示)、「移民問題」(8%。同じく260万回表示)、「銃規制問題」(7%。同じく210万回表示)、「人種差別や移民排斥などの集会の案内」(6%。同じく130万回表示)となっている。