ロシア経済は2011年に入っても、相変わらず不安で不透明な要素が山積している。
ロシアのマスコミは、今年も10%台の成長が見込まれている中国経済と、3%台の成長しか見込めないロシア経済を比較して、ロシアがどうしてこうも遅れているのかと原因を追及している。
マスコミは、ロシアの「近代化」は口先だけだが 中国の近代化は実際に成果を上げていると評価する。
たった二十数年前の1980年代半ばに、中国は輸出高で当時の東ドイツに後れを取り、GDPではオランダにかなわなかった。それが、今や輸出額で世界一となり、GDPでは世界2位の経済大国になった。また、この1月に中国の外貨準備高は2兆8500億ドルとなって史上最高額を更新、6月には3兆ドルを超えると予測されている。
こうした材料があればあるほど、「どうしてロシアは遅れているか」という議論が沸き起こってしまうのだ。
ロシア人の中国の見方は「遅れている」?
議論の特徴は、今までと違って中国の成果を褒め讃えるだけではなく、「中国モデルに学ぼう」という機運が高まっていることだ。
すでに具体的な活動も始まっている。ロシア科学アカデミー社会学研究所に付属している脱工業化研究センターの中に、中国の「近代化」の過程をロシアの経営者に紹介しようというプロジェクトが立ち上がった。
プロジェクトの立案者は、「ロシア人の中国に対する見方が正しくない」「ロシア首脳の中国への理解が足りない」と訴える。
2010年9月にヤロスラブリで開催された国際政治会議に出席したメドベージェフ大統領は、次のように述べている。
「ロシアが中国モデルにならって発展できるかというと、難しいのではないかと思う。歴史や国民のメンタリティー、産業構造などが大きく違いすぎる」
だが、プロジェクトを立ち上げた研究センターは、ロシア人の中国に対する見方は凝り固まった古いものだと考えている。多くのロシア人は心の底で、19世紀後半の帝国主義の時代のように、いまだに中国を蔑視し、その知性や能力を十分に評価していないということだ。
だから中国の経済成長に驚きながらも、それをモデルにしようとは思わない。ロシアの経営者はずっと欧米の発展をモデルとしてきた。中国の経済学者の著作などは読まないし、中国語を勉強しようという人も少ない。