森友学園に係る文書改竄問題は国政に対する信頼を揺るがす大きな問題である。しかし、世界が数十年に一度と言っていいくらいの激変を迎えようとしているいま、日本の舵取りをしっかりしなければ沈没を免れない。
学園関係で安倍晋三首相や昭恵夫人が関わり行政を歪めたとの明確な証拠はないし、首相自身が否定している。加計学園問題と同じく、野党やマスコミは魔女裁判のように印象操作で安倍内閣の支持率低下を狙うやり方は、フェアーではない。
世界の激動に対処し、日本の国益を毀損しないためには、世界を俯瞰する地球儀外交をしてきた安倍氏以外にないのではないだろうか。
日本は「力」を持つべきだ
元米太平洋艦隊司令官であったジェームズ・A・ライアンは国際ジャーナリストの藤田裕行氏(聞き手)に「平和は力で守られる」(『WiLL』2018年1月号)と答えている。
その通りであるが、憲法の平和条項が日本の平和を守ってきたと教えられてきた日本人は、なかなか「力」が平和を守っているとは理解しづらい。
日米は平成22(2010)年に新安保条約が調印されてから50周年を迎えていた。当初は首脳の共同声明が考えられたが、普天間飛行場の移設問題で鳩山由紀夫首相(当時)の態度が一定せず、バラク・オバマ米政権は不信感を募らせ格下げを要請してきた。
その結果、首相と大統領の署名ではなく、外相・防衛相と国務・国防長官の連名となった。岡田克也外務大臣や北澤俊美防衛大臣が「日米同盟の深化を目指す」と言っても防衛費の減額が続いたので、米国では日本の首相や大臣たちの発言を信じることはできなかったのだ。
平成30(2018)年3月12日付「産経新聞」は、国際政治学者の三浦瑠麗氏と外交評論家岡本行夫氏の「日本人の危機意識 徹底討論」を5面全段に掲載した。
岡本氏は「日米同盟が試される場面がくる」「トランプ氏は国家の運営に必要なコスト感覚などを国民にさらした、例えばGDPとの対比では世界の102位という日本の低い防衛費負担について『不公平だ』と批判してくる可能性がある」などと指摘する。
三浦氏は「日本や台湾が米国に見捨てられる事態を心配しています」「軍拡の是非も含めて目指すべき平和国家の議論を進める必要がある」などと語っている。
近衛文麿が「高度国防国家」を唱えて、米英に対処する軍の近代化・防空網整備と要塞化・重工業化と国民の国防意識の発揚を念頭に置いていたとして、想像力を発揮して有事に備えることを提案するのは著述家の古谷経衡氏である(『WiLL』2017年6月号)。
その中で、人口当たりの核シェルター普及率がスイスやイスラエル100%、米国82%、ロシア78%に対し、日本は僅か0.02%でしかないことを例示し、「危機意識の無さというか、悪意すら無き『無垢』なる恐怖心の無さ、逆にそれが無知の恐ろしさ、その皮膚感覚の中に恐怖や怒りが打刻されていないあまりの『非動物的』な感性に、驚愕を通り越して不気味すら感じる」と書いている。