リーマン・ショックに端を発した米国発の金融危機前後、筆者は中国随一の交通要衝地帯「中原」に位置する河南省鄭州市に赴き、求職に飢える失業者たちを取材した。

 前回コラム「激変する中国内陸部、自信深める労働者」では、2008年末と2009年末間における労働市場の変化をリポートさせていただいた。

 2010年末、三度目の正直と言うべきか、真の姿を求めて筆者は鄭州駅から2キロほどの位置にあり、失業者たちが自発的に「主催」する「二馬路労働市場」(以下、「市場」)を再訪した。

 実は《河南テレビ》年末番組の収録も兼ねていたので、鄭州空港には大学を卒業したばかりの同テレビ局新人記者Cさんが、運転手付きのハイヤーで迎えに来てくれた。

河南省の発展を口々に自慢する鄭州の人々

中国7~9月期GDP、8.9%増 大型景気刺激策などで

鄭州の家電量販店〔AFPBB News

 空港高速道路を抜け市内に入ると、C記者は「鄭州東区」という開発理念を紹介してくれた。歴代王朝の都にもなったことのあるお隣の開封市とも連合し、「開発区」として建設中。

 国際化を意識した展示場や高級感あふれる住宅・オフィス街を設けることで、外資誘致を促進させようとの試みだ。

 地価が最も高い「東区」でも不動産は1平方メートル当たり5000~6000元と、ほかの大都市と比べてそれほど高くはない。筆者が日々中国の各都市を渡り歩く感覚によれば、重慶より高く、天津より安い、といったところか。

 新人記者であるCさん(月給3000元)は、鄭州市内でも物価が比較的安い西区の120平方メートルのアパートに元クラスメート3人で同居生活を送っている。

 1人当たり月700元出せば住居は借りられると言う。仮に北京であれば、同じ立地条件・面積で1人当たり月1200~1500元はする。

 その夜参加した《河南テレビ》局幹部主催のパーティーでは、各人がそろって近年における河南省の経済発展を存分に自慢してきた。

 「我々河南人の発展に対する執着心はほかのどの地域よりも強いんだよ。分かるかい? 加藤さん。国家がきちんと重視さえしてくれれば、人口も多く、市場も大きい河南は想像もできないポテンシャルを発揮するのは間違いないんだ」