民放連の最大のライバルはNHK

 このように奇妙な経営形態のおかげで、戦後ずっとNHKは政治のおもちゃにされてきたが、時代は変わった。インターネットを使えば無限のチャンネルが配信できる。B-CASカードを使えば、受信料を払っていない人には見えなくすることができる。

 BS受信料を払っていないと、画面の左下に「NHKではBS設置のご連絡をお願いしています」というメッセージが出るが、これはBS受信料を払うと消える。同じことは地上波でもできる。インターネット端末でもスマートフォンでも、有料配信アプリにすればいい。

 今は家庭に何台テレビがあっても1世帯分しか受信料を取れないが、有料放送にすれば1人ずつ取れる。企業や学校ではひとまとめにして受信料を取っているが、これも1台ずつ取れば収入は上がるだろう。

 有料放送にすれば、報道は増収になるだろうが、教育テレビやラジオ第2放送などの地味な番組はなくなるおそれが強い。NHKが有料放送にしない原因は公共性ではなく、こういうお家の事情なのだ。

 NHKオンデマンドは独立採算で「見逃し番組」を放送しているだけなので、事業として成り立たないが、BBCは2007年からすべての番組をネット同時配信するサービス「iPlayer」をスタートし、ヨーロッパ最大の人気サイトになった。NHKと違うのは、BBCがiPlayerをテレビと同格の基幹サービスと位置づけていることだ。

 インターネットを使えば、誰がいつ見たかというビッグデータも取れる。そういう自由度を高めるには受信料制度を廃止し、NHKをインターネット中心の有料放送に変える必要がある。BBCのようにインフラ部門を売却すれば、コンテンツに特化してネットで世界展開することも可能だ。

 しかし民放連(日本民間放送連盟)は「NHKオンデマンドは民業圧迫だ」などといってNHKの有料放送化を妨害してきた。安倍政権は民放連を牽制するために電波オークションを導入しようとしているようだが、民放の最大のライバルはNHKなのだ。放送の世界に競争を導入するには、NHKを受信料制度から解放する必要がある。