昨年秋から中国で瞬く間に普及した「サイクルシェアリング」サービスが、早くも逆風にさらされている。問題になっているのは、街にあふれ返る放置自転車だ。
中国のシェア自転車は、どこでも乗り捨てられるのが売りだ。昼間に乗り捨てられた自転車は、夜にトラックで乗り付けた“整頓部隊”によって定位置に戻される。だが、最近は自転車の数があまりにも増えすぎて、回収が追いつかない。
その結果、歩道は乗り捨てられた自転車だらけで、歩くのもままならない。都市生活を便利にするはずのシェア自転車が、逆に街の混乱を招いているのだ。
すでにいくつかの都市では政府が規制に乗り出している。例えば上海ではシェア自転車を停める専用スペースを設置し、そこに停めない者には罰金を科すようになった。シェア自転車の利用には個人情報の登録が必要なので、罰金の対象者を割り出すことが可能だ。
だが果たして、罰金で解決する問題なのだろうか。この問題の根は深い。解決方法を探るには、「そもそもなぜ中国では、シェア自転車を乗り捨てにしたのか」を振り返る必要がある。
政府は「公共のための土地利用」に無関心
2010年の上海万博前夜、中国は国際社会が提唱する「低炭素社会の実現」に背中を押される形で、「公共自転車」普及の取り組みを始めた。いくつかの都市で実験が始まり、上海でも浦東新区と閔行区の2つの地下鉄終点駅が実験地となった。