北朝鮮による韓国・大延坪島(テヨンピョンド)砲撃を受けて、日米韓の外相が12月6日午後、ワシントンD.C.で会談を行い、共同声明を発表した。日米、米韓の同盟関係の責任と約束を再確認し、「共通の安全保障上の脅威に対処する決意」を表明した。
中国の大好きな「戦略的相互信頼」
日中韓で結束を強め、中国とロシアを巻き込み、5カ国が一体となって北朝鮮に対話と協調を働きかける。それぞれの思惑がある中、朝鮮半島の平和と安定維持のため、各国が共同作業で現状に挑む。
中国の識者は「戦略的相互信頼」という言葉を好んで使うが、昨今の北東アジア国際政治に必要なのは、まさにそれだ。
中国は議長国として6カ国協議の首席代表会議を北京で開催しようと5カ国に呼びかけた。「リーダーシップを発揮することによって、同地域でのプレゼンスを高め、特に米国に対する相対優位を築きたい」(中国外交部関係者)。
米国がいまだ中東問題の中で陥っているアリ地獄から抜け出せずにいるのであれば、なおさらだ。今がチャンス、と考えるのは自然である。
日米韓外相会談の共同会見において、3者ともに中国への「期待」と「警告」を露にした。米国のヒラリー・クリントン国務長官は、中国が提案した6者協議首席代表による緊急会合について「中国のイニシアチブを評価する」とした。
世界が中国の影響力を過大評価している
前原誠司外務大臣は、中国の役割について「より一層大きな役割を果たすことへの期待で一致した」と説明した。韓国の金星煥外交通商相は「中国がもう少し明確な態度で北朝鮮に警告することを望む」と語った。
筆者は北京大学朝鮮半島研究センターに所属し、日頃から北朝鮮も含めた、国内外の関係者と議論を交わしている。
北京から朝鮮半島を巡る北東アジアの国際政治を眺めていて常に感じざるを得ないのは、日米韓を中心に、各国が中国の北朝鮮に対する影響力・発言権を過大評価している、ということだ。
中国は過度な期待に戸惑っている。対北朝鮮外交の核心的ブレーンの1人は言う。