パリのギャラリー・ラファイエットの内部。 Photo by Leandro Neumann Ciuffo via flickr, under CC BY 2.0.

 マクロン新大統領誕生で注目を集めるフランス。日本では、人手不足や長時間労働是正のため、小売業や飲食業では24時間365日営業を見直す企業も出てきているが、フランスでは日曜営業の禁止を緩和する動きがある。その背景には何があるのだろうか。

欧州では「日曜日」の仕事は禁止

 もともと、欧州ではローマ帝国時代の西暦321年、コンスタンティヌス帝が「日曜日は休日」と定めて以来、ドイツをはじめ各国とも日曜日はキリスト教の「安息日」としており、仕事をすることを長い間禁じていた。

 フランスも同様に、日曜日の労働については法規制で原則禁止し労働者を保護している。例えば、警察などの公務のほか、空港、駅、ホテル、レストラン、カフェ、一部の繁華街や指定地区を除き、ほとんどの施設は定休日としなければならない。

 ところが、近年になって欧州の一部、特に高失業率の国を中心に、雇用対策の1つとして、営業時間の規制を緩和しはじめている。

通称「マクロン法」では8~10%売上高が増加した店舗も

 実際に、最近、パリに行かれた方は「日曜日にデパートが開いている!」と不思議に思われたのではないだろうか。これまで、日曜日や24時間営業に慣れている日本からの旅行者の悩みの種は、「パリの日曜日をどうやって過ごしたらいいだろうか」ということだったが、その状況が変わりつつある。

 フランスでは2013年頃から、日曜の営業規制についての議論が活発化し、大手ホームセンターや化粧品店の日曜営業をめぐり、企業と労働組合間で訴訟を繰り返していたが、2015年8月、仏政府は「経済の機会均等・経済活動・成長のための法律」(通称「マクロン法」)を機に経済活性化を目的として規制緩和策を導入、業種ごとに日曜営業について見直すこととした。

 原則として日曜日は商店の営業が禁止されたままで、販売品目や特定地区などに限られているものの、一部については新たな道へと歩み出している。