米国の非営利調査機関ピュー・リサーチ・センターが11月24日にまとめた調査によると、米国では世帯年収が7万5000ドル(約626万円)以上の層は95%が日常的にインターネットを使っているが、7万5000ドル未満ではその割合が70%になり、3万ドル(約250万円)未満では57%になる。

ブロガーの主流はオタクから主婦に?ラスベガスでイベント

米国民のデジタル格差くっきり〔AFPBB News

 所得が高くなるにつれて、インターネットや電子メールの利用が増え、オンラインでニュースを読んだり、製品やサービスについてネットで調べたり、地図サービスで経路探索をしたりする回数も多くなるという。

 家庭におけるブロードバンド接続も世帯収入と関連しており、7万5000ドル以上の層では93%が導入しているのに対し、7万5000ドル未満では85%に減る。またノートパソコンでも7万5000ドル以上では79%だが、それ未満では47%と開きがある。このほか、iPod(アイポッド)などの携帯型音楽プレーヤー、キンドル(Kindle)のような電子書籍リーダー、アイパッド(iPad)のようなタブレット型端末でも開きが出ている。

「世帯収入はすべての分野で相関関係がある」

 ピュー・リサーチ・センターは、18歳以上の米国人延べ7512人を対象に電話による聴き取り調査を行った。これらの調査対象者には、都会か郊外かといった居住地域、白人かアフリカ系アメリカ人かといった人種、学歴、性別、年代など様々な社会的要素についても尋ねている。しかし同センターではいずれもインターネットやデジタル製品の導入といった点で世帯年収ほどの影響は及ぼしていないと結論付けている。

 同センターのジム・ジャンセン上級研究員は、「消費者のオンライン行動は、ほぼすべての分野で世帯収入と相関関係がある」と説明している。

年収15万ドル以上ではより顕著に

増え続けるコンピューターストレス症候群の種、ウイルス・不具合・更新作業・・・

米国民の約3分の1が自宅にブロードバンド接続を導入していない〔AFPBB News

 収入との関連性は、さらに裕福な世帯を見るとより顕著になる。例えば、世帯年収が15万ドル(約1252万円)以上になると、電子メールの利用は96%に増え、ほかの層に比べ30ポイント高くなる。また家庭からのインターネット接続は25ポイント高く、ビデオチャット、オンライン決済、デジタルコンテンツの購入、ニュース閲覧といった行動も10ポイント以上高くなる。

 所得の違いによるデジタル格差については米連邦通信委員会(FCC)が懸念を示しており、同委員会は今年3月、米議会に提出したブロードバンド計画報告書で対策案を盛り込んだ。

 すべての子どもがブロードバンドを利用できるようにするため、既存の基金を適用したり、低所得地域の学校や図書館のインターネット導入を支援するプログラムの見直しを提案している。なお同委員会が先にまとめた調査によると、米国民の約3分の1に当たる9300万人が自宅にブロードバンド接続を導入していないという。