国連安保理、北朝鮮の制裁逃れを非難 マレーシアなど拠点

北朝鮮・平壌の人民劇場を訪れた金正恩・朝鮮労働党委員長。朝鮮中央通信(KCNA)配信。(2017年2月22日撮影、同23日配信、資料写真)。(c)AFP/KCNA VIA KNS〔AFPBB News

 金正男暗殺事件の当初、韓国の情報機関「国家情報院」は、暗殺の指示を出したのは北朝鮮の軍の秘密工作部隊「偵察総局」であり、5年前から金正恩が偵察総局に金正男暗殺指令を出していたとの見通しを示した。そのため報道では偵察総局が凄まじい暗殺軍団かのようなイメージで語られた。

 しかし、2月27日、国家情報院は、犯行を行ったのは偵察総局ではなく「国家保衛省」であるとの見解を発表した。

 偵察総局が暗殺集団であるというイメージは現在は正しくない。実際のところ、偵察総局が実施した破壊工作は、近年は非常に少ない。

(前編はこちら)「政権幹部も粛正する北朝鮮・国家保衛省の全貌
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49344

3組織の役割を踏襲した偵察総局

 偵察総局は、金正日が晩年の2009年に、それまで海外で活動してきた秘密工作機関である党の「35号室(旧・対外情報調査部)」、党の「作戦部」、軍の「偵察局」の3組織が合併して創設された組織である。

 ちなみに、それまで海外秘密工作機関としては、それ以外に党の「対外連絡部(旧・社会文化部)」という組織があったが、そこは偵察総局には吸収されず、いったん「225室」という名称で内閣傘下に組み込まれ、秘密工作機関としての活動は大幅に縮小した。その後、統一戦線部の隷下に改編されている。

 軍の偵察総局は、そのまま母体である3組織の役割を踏襲した。それぞれの役割は以下の通りである。