人気ミュージカルの出演者、劇場で次期副大統領にメッセージ読み上げる 米国

米ニューヨークのトランプタワーに到着したマイク・ペンス次期副大統領〔AFPBB News

本文敬称略

 就任以来、バナナのたたき売りのように大統領令を連発するドナルド・トランプ第45代大統領。メディアに叩かれようと、米議会共和党から批判が出ようとも、トランプの「悪性自己陶酔症」(Malignant narcissism)*は収まりそうにない。

*ジョンズホプキンス大学医学部のジョン・ガートナー博士が「診断」したトランプの病状。反社会的行動、サディズム、攻撃的言動、パラノイア、誇大妄想がその特徴だという。

 メキシコとの国境に「壁」を造る。イスラム教徒の入国を禁ずる。大統領選の最中に言っていたことを本当に実行を移すとは、トランプに票を入れた米国民も驚いている。世界は仰天している。

 「壁」の方は、予算措置を米議会が認めなければ、すぐには実現しないが、イスラム教徒の入国禁止は大統領令発布と同時に実施された。これに疑義を申し立てた司法長官代行は即刻解任された。

 反移民の草の根保守が拍手喝采する一方で、これに反対する「良識派市民」は米国内主要都市の空港で抗議デモを繰り広げている。

「国益第一主義」追求で「例外主義」放棄か

 自由と民主主義を「衣」に纏い、Exceptionalism(例外主義=米国は他の国とは違う特別の国家だという信念)を金科玉条に第1次大戦以後、超大国にのし上がったU.S.A.は、トランプの下でその「衣」をあっさりと脱ぎ捨て、「国益第一主義」を追求する並みの国家になってしまうのか――。

 もう少し様子を見ないと、即断はできない。

 やりたい放題のトランプの一挙手一投足を傍らでじっと見ている、胸に一物ありそうな男がいる。今は何も言葉を発さない。第48代副大統領のマイク・ペンス(57)だ。

 ワシントン政界を過去50年間、取材してきた米有力紙のベテラン・ジャーナリストは、筆者にこう述べている。

 「今ワシントン政界で最も注目されているのがペンスだ。このままトランプが突き進めば完全に行き詰まる。そうなると、病気を理由に辞めるか、弾劾されるかだ」

 「その時とって代わるのは、継承順位第1位のペンスだ。就任時はペンスが大統領に昇格する確率は五分五分だったが、今や七分、三分になってきたぞ」