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2016年12月15日に安倍首相の地元・山口県長門市でのプーチン大統領との日露首脳会談が実施された。この会談により、戦後の日露関係は大きな転換点を迎える見通しだ。歴史学者で東京大学名誉教授の山内昌之氏に、日露が直面する喫緊の課題とそれを見据える視座のあり方をご提示いただく。

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皆さん、こんにちは。イランの民話には、次のような言い伝えがあります。

「クマを可愛がってもいい。でも、抱いては駄目。クマはあなたを押しつぶすから」

イラン人にとってのクマは、もちろんロシアを暗喩として指しています。つまり、ロシアという厄介なクマをいかにあやして付き合うか、という問題です。「クマと仲良くしよう。しかし、必要以上に懐に入るのは駄目だ。体も大きく、力も強い相手だから、必ずあなたを押しつぶしてしまう」ということです。これは19世紀に2回大きな戦争を起こし、その結果、多くの中央アジアやコーカサス(カフカース)の領土を失ったイラン人たちにとって切実な声だったのかもしれません。

今、私たちは日露関係の正常化に向かっています。(ウラジーミル・プーチン大統領が)12月に来日し、山口県長門市すなわち安倍晋三総理大臣のお膝元で首脳会談が行われる手はずです。このような日露関係の進展に際しては、両国間の友好に向けての懸案を解決することがもとより喫緊の課題です。しかし、日米関係(日米安保条約)という大変重要な核を持つ日本としては、ロシアをクマにたとえたイランの知恵や民話を、どこかで念頭に置いておく必要があろうかと思います。

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日露関係正常化に向けて~ユーラシアの政治力学
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