デジタルマーケティングの国際カンファレンス「ad:tech Tokyo(アドテック東京)」が10月28~29日にザ・プリンスパークタワー東京で開催された。

 2回目となる今年は2日間で合計5つの基調講演と36コマのセッションが行われ、会場、出展・協賛社数、公式スピーカー数ともに規模を拡大した。会期中は昨年の約2倍となる6321人を動員した。

2020年のデジタル広告市場は5000億ドル規模に

米グーグルのアジアパシフィック担当マーケティングディレクター、マービン・チョウ氏
(撮影:前田せいめい、以下同)

 開幕を飾る基調講演には、米グーグルのアジアパシフィック担当マーケティングディレクター、マービン・チョウ氏が登壇し、デジタルマーケティングの展望について語った。

 現在、世界の広告マーケットは5500億ドル規模で、そのうちデジタル広告の占める割合は15%に満たない。しかしこの分野は大きな潜在性を示しており、2020年には市場規模は1兆ドルに成長、デジタル広告のシェアは約50%の5000億ドル規模に拡大する見込みという。

 この成長を実現する推進要因として、チョウ氏は「テクノロジー」「経済性」「社会性」の3つを挙げた。

 「テクノロジー」に関して、同氏は特にクラウドコンピューティングとモバイルに注目している。クラウドでは迅速に新しいサービスを構築し、ビジネスチャンスを逃さずに広告活動が展開できる。

 またクラウドによってスーパーコンピューターの計算能力を利用することが可能となる。これがモバイルにも広がれば、とてつもなく大きな力になると同氏は指摘する。

 同氏によれば、初めてウェブを利用する人の半数は携帯電話からアクセスしており、モバイルウェブの成長速度はパソコンより8倍速い。

 クラウドとモバイルの組み合わせとして、同氏はグーグルが取り組んでいる画像認識検索技術「グーグル ゴーグル(Google Goggles)」に触れた。

 この技術を使うと、例えば関心のある商品を携帯電話で撮影して、ECサイトで画像検索し、見つかったらすぐに買うことができる。従来とまったく異なる購買手段が生まれ、2次元コードも不要になる。

 2つ目の「経済性」については、「成功の方程式は単純で、価値がコストを上回ればよい」と同氏は話す。

 かつて新聞がモノクロからカラー刷りになったように、また電話帳のクラシファイド広告がバナー広告、そして検索広告へと移ったように、マーケティングの価値がコストを上回れば変化が進むという。