【第7回】
今、日本の「教育」が行き詰まっている。日本の高度成長を支えた、「正解」をいかに早く覚え、再現するかという従来の教育は、「答えのない時代」を迎えた今、うまくいかなくなった。日本の国際競争力を高める人材を育成する上で、障害となっているものは何か。21世紀の教育が目指すべき方向は何か。
本連載では、世界からトップクラスの人材が集まる米国、職業訓練を重視したドイツ、フィンランドの「考える教育」など、特色ある教育制度を取り入れている先進国の最新動向から、日本の教育改革の方向性を導き出す。
(前回の記事「教育格差社会、米国の光と影」はこちら)
ドイツの大学は出入り自由、転学も自由
次に、ドイツの大学制度を見ていきます。
日本では想像もつかないようなシステムですが、ドイツの大学には入学試験がありません。高校卒業資格というのがあって、その資格さえあれば、全国どこの大学のどの学部にも、自由に入学することができる。転学も自由です。
学生は自分の学習計画に合わせて授業を履修し、カリキュラムが終われば卒業です。タイミングを含めて出入り自由ですから、入学式もなければ卒業式もありません。いわゆる「名門大学」もありません。「どうしてもあの先生のところで勉強したい」という希望があれば、1学期間だけ別の大学で学ぶことも可能です。
ワンダーフォーゲル (渡り鳥)のようにさまざまな大学を転々とすることが珍しくありません。もちろん、本人の希望によって、ずっと1カ所にいてもいい。それだけでは不足だという人は、1つの大学、1人の指導教授の下、ドクターコースに行きます。これがドイツの大学です(図-16)。
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