減産合意でも救えないサウジアラビアの窮状

経済は悪化の一途、国民の不満は頂点に

2016.10.07(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48061
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米議会、大統領の拒否権覆す 9・11犠牲者遺族のサウジ提訴法案で

同時多発テロの犠牲者遺族がサウジアラビア政府を提訴することを可能とする法案が米国で成立した。写真はニューヨークで行われた米同時多発攻撃から15年の追悼式典(2016年9月11日撮影、資料写真)。(c)AFP/Bryan R. Smith 〔AFPBB News

 9月末のOPECの「減産」合意以降、これまでのところ米WTI原油先物価格は堅調に推移している(米国の在庫が5週連続で減少したことを受けて10月6日時点の価格は1バレル=49ドル台)。だが、原油価格がこのまま上昇していくと考えるのは早計である。

OPECはなぜ減産に合意したのか

 OPECは9月28日の会合で、原油生産量を加盟国全体として日量3250~3300万バレルに制限することで合意し、11月30日に開催される通常総会に向けて加盟各国の個別の生産上限を決定すべく調整していくこととなった。

 合意に至った最大の理由は、原油市場におけるさらなる供給過剰への懸念だった。OPEC会合を翌日に控えた9月27日、国際エネルギー機関(IEA)のビロル事務局長は「世界の原油生産量は2017年後半になるまで需要を上回り続ける」との見通しを明らかにした。世界の原油市場の供給過剰は100万バレルを超える情勢にあった。

 世界の原油需要に対して強気の姿勢をとり続けてきたサウジアラムコでさえ、OPEC会合の直前に「世界の原油需要はそれほど堅調ではない」と発言するなど、需要面の懸念も浮上していた。

 大きな要因は、サウジアラムコが最大の市場と見込む中国の原油需要に黄色信号が灯り始めていることだ。8月末の中国の純国内石油需要は日量1089万バレルと9カ月ぶりの前年比マイナスになり、石油需要の頭打ちが鮮明になってきている。ガソリンの供給過剰状態が9月にさらに悪化しているため、これまで原油輸入拡大を牽引してきた「茶壺」と呼ばれる民間の製油所の統廃合に中国政府が本腰を入れ始めている。さらに人工衛星の画像分析から「中国の戦略備蓄は政府発表の数字(約3200万トン)の2倍以上の約8000万トンに達している」との指摘もある(9月30日付け米ZeroHedge)。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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