韓国で接待などを厳格に規制する新法が2016年9月28日、ついに施行された。
濃厚な人間関係と不透明な接待慣行を背景にあちこちで見られた「不正請託」の芽が摘みとれるのか。一時的な「接待自粛」で終わるのか。産業界、公務員社会、メディア、学界などでは大きな変化がすでに起きている。
「やっぱり、法律の影響なのかな?」
9月29日昼。知人と昼食の約束がありソウル中心部のホテルに行った。ビジネスホテルのレストランは、いつもは昼食時には満席だが、この日はがらがらだった。
がらがらのレストラン
このレストランは、ランチバイキングに生ビールを注文すると、3万ウォン(1円=10ウォン)を少しだけ超える。
この日は、知人の送別会で「ちょっと良いランチ」になったようだが、この価格が問題だったのか。
韓国では、前日の9月28日に「不正請託および金品などの授受禁止法」というそのものずばりの内容の新法が施行になった。一般的には、この法律を最初に発議した女性法律家の名前から「金英蘭(キム・ヨンラン)法」と呼ぶ。
この法律はいくつかの点で「破格」の内容だ。対象者の範囲がやたらと広いのだ。
国家公務員や地方公務員のほかに、私立学校の教職員、学校法人の役職員、マスコミ関係者などが含まれるのだ。
汚職防止のための法律だが、私立大学の教授や新聞記者、学校法人の理事なども入る。さらに純粋な民間人であっても、政府の審議会などの非常勤の委員、こうした対象者の配偶者まで対象になる。
これは大学教授や記者が、いろいろなロビー活動をすることがあり、これを防ぐためだ。