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オランダの農地の風景。(写真はイメージ)

【連載第6回】今、日本の農業は変わらなければならない。食料安保、食料自給率、農業保護などにおける農業政策の歪みにより日本農業は脆弱化し、世界での競争力を失った。本連載では、IT技術を駆使した「スマートアグリ」で 世界2位の農産物輸出国にまで成長したオランダの農業モデルと日本の農業を照合しながら、日本がオランダ農業から何を学び、どのように変えていくべきかを大前研一氏が解説します。

世界へ飛躍するオランダの農業関連企業

温室環境制御、温室設備で世界的企業に

 オランダでは農業が転換していくなかで、生産者が変化するだけでなく、企業も育ちました。

 図-20の左側をご覧ください。

 いわゆる近代的な施設園芸の全体システムを提供するプリバという会社は、今や世界最大の温室環境制御システム開発会社となっています。全世界の圃場データを集約したビッグデータを持ち、そのデータを生かしてさまざまなコンサルティングを行っており、世界70カ国以上で導入されています。海外売上比率は50%もあります。

 さらに右側をご覧ください。ファンデルフーベンも、温室設備の世界的メーカーへと成長を遂げています。温室の設計・部材製造・建設だけでなく、ヒーティングや灌漑設備なども請け負っており、世界60カ国以上で導入されています。

 オランダの会社はフットワーク良く海外に出ていきますので、こうした会社がコンサルタントと共にロシアにどっと行き、ノウハウを教えたことで、ロシアの農業は今、輸入しないでも事足りるまで成長してきました。ロシアの農業は欧州との軋轢の中で大きな改革を遂げて、オランダ型に転換し、あっというまに今のところまできたのです。