大事なのは、お客さまの「エクスペリエンス」。(写真はイメージ)

 IoTの導入は、多くの企業にとって「成熟化」や「同質化」への対応という喫緊の課題を解決するチャンスである。しかし同時に、その変化に適応できなければリスクともなりうる。

 今後、ブランドの差別化ドライバーがプロダクト価値やイメージ価値から「ブランド体験」価値へとシフトして行くことは間違いないだろう。

 したがって、お客さま主語の視点からIoTという破壊的イノベーションを捉えた場合に、お客さまの「エクスペリエンス」(ブランド体験)がどう変わるのかが多くの企業人にとって主要な関心事になるのは理の当然である。

IoTの本質は「お客さまの成果ベースで稼ぐビジネスモデルの創出」

 さて、IoTの本質とは何か。 IoT(Internet of Things:モノのインターネット化)という言葉のままに理解しようとするよりも、いささか聞き慣れない言葉ではあるが、いっそのこと「Digital Ubiquity」(デジタルの遍在)と意訳したほうが良さそうだ。

「Digital Ubiquity」の企業主語での解釈は「オープンでグローバルなネットワークによって機器、データ、ヒトを結びつけ、お客さまの成果ベースで稼ぐビジネスモデルを創出すること」である。

 すべてのモノがインターネットでつながった状態というのは、実はIoTのハードウエアとしての側面を説明しているだけに過ぎない。本来は「お客さまの成果ベースで稼ぐビジネスモデルを創出する」ことこそ核心的なビジネスのイノベーションとしてハイライトされるべきである。