芸術の秋まっただ中のパリ。中でも毎年恒例のコンテンポラリーアートの大イベント「fiac」が、去る10月21日から24日まで開催された。
なぜか日本人には馴染みが薄いコンテンポラリーアート
これは、パリの中心部にあるグラン・パレとルーブル美術館(中庭の特設会場)を舞台に、内外のギャラリー、つまり画商が集い、それぞれが抱えるアーティストの作品を展示するというもので、今年で37回を数える。
現在ベルサイユ宮殿で開催中の村上隆展の記事の中でも触れたが、村上さん自身が指摘されたように、コンテンポラリーアートというのは、日本人にとって一般的にはあまり親しみのない分野であるかもしれない。
もちろん、村上氏をはじめ、国際的アーティストを輩出している国であることは確かだし、世紀の名画も少なからず保有してはいる。
しかし、その国力に比して、つまり、あらゆるビジネスシーンでの活躍ぶりと引き比べると、この分野、特に市場として見た場合の日本での成熟度はまだ低い。
だが、世界的には、このアート市場の動きというのが、ある種、経済のバロメーターのような意味合いを持っていて非常に興味深いものがある。
以下、今回のfiac開催に際して、artpriceという組織とfiacが共同でまとめた「LE MARCHE DE L’ART CONTEMPORAIN 2009/2010(コンテンポラリーアートマーケット 2009~2010)」という年間報告書から、近年の動向をご紹介したいと思う。
まず、この10年の市場を概観する。2000年1月時点でのコンテンポラリーアートの価格を指標として100とすると、2003年までは、ほぼ横ばいで推移するのだが、2004~2005年に登り坂になり、2006年には、150まで上昇。
さらに、2007~2008年にかけて200まで達し、つまり、市場のバブル期を迎えている。
それが、2008年下半期には、急激な下降線に転じる。リーマン・ショックの影響である。とりわけ投機的な意味合いの強い高額取引が大打撃を受けた。