東京都知事選挙の投開票まで、あと1週間。
都民ではない私には、もちろん投票権はありません。しかし、前岩手県知事の増田寛也氏の立候補によって、がぜん関心が高まりました。在任中に倍増させた県の公債費、非難を浴びた度重なる出張・・・。
増田氏の「実務型」という触れ込みに首を傾げてしまう岩手県民は、私だけではないはずです。
おまけに、総務大臣時代には、東京の税金を地方へ振りまく制度まで構築しています。それを踏まえ、都民の方々がどのような判断を下すのか、北の地から注目しています。
その東京都知事選挙。保守分裂の選挙ということもあり、争点が見えにくい選挙になってしまいました。
また、「あたたかさあふれ、お年寄りも子供も安心できる東京の実現」や「もっと安心、もっと安全、もっと元気な首都・東京」「住んでよし、働いてよし、環境によしの東京を創る」というように、主な候補者の公約や第一声に大きな違いが見られないことが、混乱に拍車をかけています。
先の参議院選挙の時もそうでしたが、人を惹きつける自らの言葉を持った政治家が少なくなった、と感じるのは私だけでしょうか。
政治家は職業ではなく「生き方」だ
『田中角栄 100の言葉 日本人に贈る人生と仕事の心得』(別冊宝島編集部 編・宝島社)
没後20年以上を経ても、いまだに多くの人を魅了してやまない元総理大臣の故・角栄氏。本書は、タイトルの通り角栄氏の名言がみっちりと詰まった一冊です。
例えば、<川の上流と下流、両方の選挙民が橋をかけて欲しいと陳情している。田中角栄はまず大急ぎで片方に橋をかける。最初は片方に嫌われるが、もう一方にも必ず橋をかける。言ったことは実行するんだ>というフレーズ。
実現可能か不可能かの以前に、ここまで自信を持って言い切れる政治家が、現在、果たしているでしょうか。加えて、この人なら本当にやってしまうかもしれない、と思わせてしまう熱のこもった語り口。私が選挙区民だったら、迷わず一票を投じていたことでしょう。
本書を読み終えると、本来、政治家は、「職業」ではなく「生き方」なのだ、という思いを強く抱きます。