トランプ氏所有のゴルフ場で抗議 英スコットランド

英スコットランド・アバディーンの北にある、自身が所有するゴルフ場を回りながら報道陣に応えるドナルド・トランプ氏(2016年6月25日撮影)〔AFPBB News

 こんなにも変わるものなのか――。

 これが正直な感想である。昨年6月、共和党ドナルド・トランプ候補(以下トランプ)が大統領選に出馬して以来、暴言を含めて様々な主張を繰り返してきた。

 だが今、過去の言い分と最近の発言とを比較すると、矛盾が生まれていることに気づく。昨年発言した内容を否定するかのように、時には都合のいいように、主張を変えているのだ。

 日本の政治家にも見られることではある。だがトランプは大統領候補である。主張や公約の不一致は、政治家としての資質と将来性に大きなマイナスとなるばかりか、当選の可能性を自ら低下させてしまう。

 いくつか例を挙げてみたい。

イスラム教徒の入国完全禁止

 まず最もトランプらしい発言の1つであるイスラム教徒の米国入国の禁止についてだ。昨年12月7日、サウスカロライナ州での集会で、トランプはこう言い放った。

 「米国政府が諸要件を見極めるまで、イスラム教徒の入国は完全に禁止したい」

 「完全に(Total and Complete)」という単語を使って語彙を強めたところに、トランプらしさが滲んでいる。発言直後から、米国内のイスラム教徒だけでなく、世界中のイスラム教徒の反発を招いた。

 しかし今年6月25日に発言内容を変えた。英スコットランドのゴルフ場で記者たちに対し、「(入国禁止は)すべてのイスラム教徒ではなく、テロ国家と思われる国のイスラム教徒」と主張を和らげた。

 実は昨年12月7日の発言の5日前に、カリフォルニア州サンバーナーディーノで銃乱射事件が起きていた。犯人はイスラム教徒でイスラム国(IS)に忠誠を誓う発言をした人物だった。