三菱東京UFJ銀行が「国債市場特別参加者」(プライマリーディーラー)の資格を国に返上する(資料写真)

 財務省を頂点に形成されてきた国債市場の厳格なヒエラルキーに綻びが見え始めた。三菱東京UFJ銀行が、有利な条件で国債の入札に参加できる「国債市場特別参加者」(PD:プライマリーディーラー)の資格を国に返上することが明らかになったからである。

 日本の金融行政はかつて護送船団方式と呼ばれ、市場メカニズムとは遠くかけ離れた場所にあった。PDによる国債消化の仕組みはその名残りともいえる。

 三菱UFJ銀行の離脱によって、すぐに国債の消化に問題が起きるわけではないが、将来的な金利上昇リスクは高まったとみてよいだろう。

財務省を頂点とした特権クラブ

 プライマリーディーラー制度は、国債の消化を最優先することを目的に導入された特殊な制度である。プライマリーディーラーの資格を持つ金融機関は、国債の入札について財務省と情報交換できる一方、すべての入札で発行予定額の4%以上の応札が義務付けられている。

 情報交換というともっともらしいが、何のことはない、儲かることを保証する代わりに、国債の応札にノルマを課し、国債消化を確実にする役割が暗に求められている。これは一種の談合に近いシステムといってよい。