世界中のありとあらゆる道路を自動車で走りながら撮影し、その画像をネットで公開している米グーグルの「ストリートビュー」――。

 何かと物議を醸しているサービスだが、同社はそれを世界で最もプライバシー保護に厳格なドイツで始めようとしている。

24万世帯が公開を拒否

グーグル「ストリートビュー」車両、Wi-Fi経由で個人情報を誤収集

「ストリートビュー」用の撮影車両〔AFPBB News

 グーグルは10月21日、ドイツの約24万5000世帯から住宅の鮮明な画像を公開しないよう求められたと発表した。

 ただしこの数字は対象地域全850万世帯のわずか3%弱で、サービスの開始に影響が出るものではないという見解を示している。

 グーグルは同国の20都市を対象にしたストリートビューサービスを年内にも始める予定だが、米ウォールストリート・ジャーナルによると、その計画を今年の8月に発表したところ同国で大騒ぎとなった。

 連邦議員やマスメディアが異議を唱え、世論調査が行われ、オンライン地図サービスに対するより厳しい規制を求める声が高まった。

 そこでグーグルはこの問題に取り組むことにした。米ニューヨーク・タイムズによると、同社はハンブルクとミュンヘンで200人を雇い入れ、各世帯に手紙を郵送。住宅の画像をそのまま公開してよいか、あるいは拒否(オプトアウト)するかの確認を取った。

オプトアウトは“ぼかし”処理で対処

 グーグルとドイツの規制当局は、同社が住民にこのようなオプトアウトの選択肢を与えることで合意している。

 その内容は、「もし住民が拒否した場合はグーグルはその建物にぼかし処理を施して公開する。集合住宅の場合、その住人の1人でも拒否すれば建物全体をぼかす。ただし1階部分が店舗の場合は、特に依頼がない限り店舗部分だけはぼかし処理をしないで公開する」というものだ。