人生の悩みを消し去る勇気を持つために
アドラーの心理学がブームになっている。韓国などではすでに超人気でアドラー本が売れに売れているが、ここに来て日本にも多くのファンが誕生している。
その背景には一向に良くならない経済環境、将来への不安、そして企業が成果主義人事を徹底させるようになって働く人の気持ちに余裕がなくなってきていることなどが挙げられるだろう。
人工知能やロボットの発達で人間の職業は今後、次々と機械に取って代わられる危険性もある。そうした厳しい時代を私たちはどのように生きて行くべきなのか――。
実は、厳しい時代は何も今に始まったことではない。人間の長い歴史の中で厳しくない時代を探し出す方が難しい。組織の中でしか生きることができない人間にとって、いつの時代も悩みはついて回るのだ。
だからこそ、時代を超えてアドラーは私たちに多くの的確な示唆を与えてくれる。アドラーの心理学を学ぶことで、今まで悩み続けていたことが、目から鱗が落ちるように解決される場合も多い。
日本におけるアドラー心理学の第一人者、岸見一郎さんにアドラー心理学の真髄を聞いた。以下は岸見さんのお話である。
アドラーが注目する3つの点
アドラーは、「人間の悩みは1つの事柄に行きつく。すべて対人関係の悩みである」と断言しています。そのうえで、次の3点に注目し、「より大きな共同体の声を聞け」と説いています。
1.怒りとは出し入れ可能な道具である。
2.他人は、あなたの期待を満たすために生きているのではない。
3.自由とは、他人から嫌われることである。
赤面症の少女をカウンセリングしたことがあります。その子に「もし赤面症が治ったら何をしたい?」と聞いたら、「男の人とつき合いたい」と言う。
赤面症であることを理由に人生の課題から逃げているわけです。そこで、「人生の目標を変えてみよう」とアドバイスしました。