10月16日から数日間、中国各地で再び大規模「反日デモ」が吹き荒れた。
デモ発生がちょうど共産党「五中全会」と重なったため、「あれは官製デモだ」「いや、中国政府批判だ」「ヤラセだ」「ガス抜きだ」「いやいや、制御不能になったのだ」など、様々な見方が報じられている。
なぜ、習近平の次期総書記就任が事実上決まったこの時期に再び「反日デモ」が起きたのか。尖閣事件は9月中に一応収束したのではなかったのか。今週はこうした質問を数多く頂戴したので、現時点での情報に基づき、改めて「反日デモ」の背景を詳しく検証してみたい。
游行示威か群体性事件か
そもそも今回の「反日デモ」とは一体何だったのだろう。日本車、日本料理屋、日本製家電ブランドの看板のある店が多くの学生や労働者に襲撃されたのだから、これは「デモ」というより、むしろ「暴動」に近い。
ただし、中国政府はこの種の事件を「暴動」とは決して呼ばず、公式には「群体性事件」と表現する。
群体性事件とは「10人以上が集合し、共同で法律・法規に違反し、社会秩序を撹乱させ、公共の安全に危害を及ぼし、市民の身体の安全と公私の財産を侵害する行為」を指すのだそうだ。
この定義によれば、今回の反日デモも「群体性事件」に分類されておかしくない気がする。
ところが、中国語のネットを見る限り、今回の事件は「反日游行示威」(反日デモ行進)と表現され、一連の事件で多くの逮捕者が出たという報道もない。
中国外交部も、違法な行動には賛成しないとしつつ、「一部の群衆が・・・憤りを表明することは理解できる」とすら述べている。
それでは、中国では「群体性事件」は稀にしか発生しないのかというと、そうではない。