世界自然遺産の約半分、産業活動の脅威にさらされている WWF

エクアドル・ガラパゴス諸島沖を泳ぐアオウミガメ〔AFPBB News

 日本の主要メディアが取り上げないのが疑問に思えるほど重要な記事が今月8日、米科学誌に発表された。科学にご興味のない方もぜひご一読いただければと思う。

 論文を端的に述べると「地球温暖化によって地球の軸がぶれ始めている」という内容である。地球の軸とは北極と南極を結ぶ地軸のことだ。

 ご存じのように地球は完璧な球体ではなく、北極の自転極と南極の自転極を結んだ軸を中心に自転している、いわばコマのようなものである。

 地軸は公転面に対して23.4度という角度で傾いている。その傾きがあることで、地球が太陽を1年で1周する間に日本などは四季が巡ってくる。傾きがないと1年中同じ季節ということになる。

2000年頃から変化強まる

 8日に発表された論文は、『サイエンス・アドバンシーズ』という科学誌に掲載された。著名な科学誌『サイエンス』のオンライン版と言える出版物で、研究者の評価は高い。

 実はこれまでも、自転極が長い年月をかけて移動していることは知られていた。1年にわずかであるが移動していた。ところが2000年頃から、急に移動のペースが速まっている。しかも向きも変化している。

 論文の著者の1人で、米カリフォルニア州の航空宇宙局(NASA)ジェット推進研究所のスレンドラ・アディカリ氏は米通信社の取材に対し、「近年の自転極の動きは20世紀に見られたものとは違い、たいへんドラマチックです」と答えている。

 何がドラマチックなのか。

 北の自転極(以下便宜的に北極点)はこれまで、西方向に動いていた。西方向というのは、地球儀を真上からみた時にカナダ方向を指す。しかし2000年頃から移動の方向が、経度にして約75度東になり、英国へ向かっているというのだ。

 移動距離にすれば1年で7インチ(約17.5センチ)に過ぎないが、地球科学的には「たいへん重要な情報」(アディカリ氏)であるという。