中国で年に一度の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が開かれた。
今年の全人代の中心課題は経済改革と景気対策である。李克強首相は政府活動報告のなかでゾンビ企業を整理、統合するとの決意を表明した。
中原地方と呼ばれる河南省と山西省は、歴史的に炭鉱が密集する地方である。昨今の石炭の需要減少と価格低下によってこれらの炭鉱の多くは経営を続けられなくなった。また地方政府は不動産バブルに便乗して各地に小さな製鉄所を設立したが、鉄鋼価格の急落を受けて経営難に陥っている。こうした炭鉱や製鉄所は経営的には存続が難しいが、大量の雇用と生産設備を抱えているため閉鎖することができない。
2016年の全人代の目玉の1つは、こうしたゾンビ企業の整理、統合である。中国政府が過剰設備の削減に本気で取り組むことを決意したのだ。政府は、鉄鋼と石炭関連のゾンビ企業の閉鎖によって失業すると見られる約180万人の手当として1000億元(約1兆7500億円)を用意すると表明した。
なぜゾンビ企業が生まれたのか
では、これで過剰設備の問題が解決するのだろうか。答えはノーである。