「幽霊」が首都をデモ行進、韓国

韓国・ソウルの景福宮前で、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルが主催した「幽霊デモ」に登場したホログラムのデモ隊(2016年2月24日撮影)〔AFPBB News

 韓国で最も歴史が長い財閥が斗山(トゥサン)グループだ。2016年で創業120年となる。このグループの会長が、3月末に交代する。創業者の「ひ孫」に当たる人物が新会長になる。

 韓国でも珍しい「家族順送り人事」が今なお続いているわけだが、その間には骨肉の争いもあった。今も経営には問題が多く、54歳の新会長の前途も多難が予想される。

 2016年3月2日、斗山グループの会長で、大韓商工会議所の会長も務める朴容晩(パク・ヨンマン=1955年生)氏が、会長人事を発表した。持ち株会社機能も持つ「斗山」の会長として後継準備をしてきた「おい」にあたる朴廷原(パク・ジョンウォン=1962年生)氏が3月末にグループ会長に就任する。

 朴廷原氏は、創業者から数えると4世代目にあたる。韓国の財閥でも4世代目のバトンタッチは初めてのことだ。

「家族会議」で決まった?

 韓国メディアは、「家族会議で以前から決まっていた人事だ」と報じている。斗山グループの主力企業にはもちろん上場会社もある。財閥だから、それぞれの企業は、一定の規模だ。にもかかわらず、理事会(取締役会)より「家族会議」が上にあることを何の疑問もなく説明するところが、韓国の財閥らしいといえる。

 斗山グループと言ってもピンと来ないかもしれない。

 韓国公正取引委員会が2015年4月に発表した「大企業集団現況」によると、資産規模は33兆1000億ウォン(1円=10ウォン)。韓国の財閥ランキングは12位だ。

 それなりの規模だが、歴史は飛びぬけて長い。サムスンや現代が、1930年代の創業なのに対して、創業は1896年だ。

キリンを契機に成長軌道に

 創業者の朴承稷(パク・スンジク)氏が、化粧品などさまざまな事業を手がけた。成長のきっかけをつかんだのは、キリンビールの前身が植民地時代の朝鮮半島への進出を決めたこと。「昭和麒麟麦酒」を設立したが、この株式の一部を取得して事業パートナーになったのだ。

 事業を継いだ同氏の長男、朴斗秉(パク・トビョン)氏が、キリンビール撤退後に「昭和麒麟麦酒」の経営権を買い取り、「東洋麦酒」を設立して、一気に成長軌道に乗った。OBビールのことだ。