中国人観光客はまだ増加しているが・・・(写真の右はソウル市内の新世界百貨店)

 「観光立国」を掲げ、海外からの観光客誘致に力を入れているという点では、韓国も日本と同様だ。ここ数年、中国人観光客の爆発的な増加で、外国人観光客の訪問者数も急増している。ところが、韓国への訪問者数は、2015年に12年ぶりにマイナスに転じ、こともあろうか7年ぶりに日本に逆転されてしまった。

 「中国人観光客、韓国では化粧品だけを買うのに、日本では温泉を楽しみ旺盛な金遣い」

 2016年2月11日、韓国の「毎日経済新聞」はこんな大きな記事を掲載した。

 中国の春節(旧正月)の大型連休にあたる2月初め、韓国にも大挙して中国人観光客が訪問した。

春節、中国人は来てくれたが・・・

 これまでなら、百貨店の売り上げが急増した、繁華街の明洞(ミョンドン)一帯には歩くのも大変なほど中国人のショッピング客が詰め掛けた。ホテルの予約が取れない・・・などなど威勢のよい話を集中的に報じることが一般的だった。

 だが、この記事は、そういう内容とはかなり異なっていた。

 中国人観光客が増加していることは歓迎だが、その増加ペース、韓国での消費の中身、韓国旅行に対する満足度を分析して、日本に中国人観光客がどんどん流れていることを報じている。

 中国人は日本では温泉に行き、地方も訪問して、さまざまな買い物、食事を楽しんでいるという内容だ。

 今年初めに発表になった日本と韓国の2015年の外国人観光客訪問者数の数字は韓国にとっては衝撃的だった。

2008年以来の大逆転劇

 日本政府観光局の発表によると、日本を訪問した外国人観光客数は前年比47.1%増の1973万7000人だった。これに対して、韓国観光公社などがまとめた韓国を訪問した外国人観光客数は同6.3%減の1323万1651人だった。

 日本への外国人観光客訪問者数が韓国を上回ったのは、2008年以来のことだ。

■外国人観光客数の推移

(日本政府観光局、韓国観光公社調べ、万人)

  韓国 日本
2008年 690 835
2009年 782 679
2010年 880 861
2011年 979 622
2012年 1114 836
2013年 1218 1036
2014年 1420 1341
2015年 1323 1973

 韓国への外国人観光客訪問者数は、2008年の689万841人から毎年急増してきた。2012年には日本より1年早く1000万人の大台に乗った。