「帝国の慰安婦」を上梓した韓国人の朴裕河(パク・ユハ)教授が、韓国の地検によって在宅起訴された。地検は言論・出版や学問の自由は憲法が保障しているが、著書は「学問の自由を逸脱した」としている。
教授は慰安婦問題を感情からではなくファクトから追求した結果、日韓間だけの問題ではなく帝国という時代の申し子という考えに至り、学問的に解明しようとした。研究の成果として日本を免罪はしないが、同時に「韓国も変わらなければならない」という考えに至った。
しかし、「韓国も・・・」という指摘が、韓国民や大統領の意図を忖度する地検には許せなかったようだ。これは権力に媚びる事大主義にも似て、李氏朝鮮以来の国民性でもある。
自由な発言を遮る公権力
今回の在宅起訴について、日本の全国紙は「自由な議論を封じ不当だ」「政府主張を後押し」「韓国の自由の危機だ」「歴史研究への介入憂う」などと批判している。
他方、韓国のメディアでは「学問としての主張はどこまで認められるべきか」などと報じ、敏感に反応しているようであるが反応は様々であると読売新聞は伝えている。
著書は一昨年出版されて以降、慰安婦問題を感情にとらわれないで冷静に、より広い視点から研究したものとして高い評価を受けてきた。その一方で、慰安婦たち(原告は慰安婦であるが、実際は支援団体といわれる)からは名誉棄損として告訴されている。
しかし、起訴された朴教授の話では、原告になっている慰安婦たちであるにもかかわらず、「名誉棄損での告訴を知らなかった人もいた」というように、「当事者である彼女たちの意思、当事者抜きに行われている」と指摘している。
日本を非難した慰安婦たちも、彼女らの言動が支援者団体の意向に従ってどんどん変わっていったと、慰安婦19人の証言を纏めた安秉直教授が大高未貴氏のインタビューで語っている。
すなわち原告から離れて反日支援団体の手で誘導されていった構図が透けて見えるようである。
朴教授の指摘で忘れてならないことは、帝国主義が慰安婦問題を作り出したとして、他の国も同様の問題を抱えていることを明らかにしたことである。実際、どこの軍隊が動く先々でも、犠牲になった女性がたくさんいた。