空中給油中のカナダ軍CC-150Tポラリス。カナダ軍はなぜIS爆撃ミッションから離脱することになったのか

 10月19日、カナダ総選挙が実施され、野党第二党の地位に甘んじていたカナダ自由党(中道左派政党)が勝利した。これにより、10年間政権の座にあったカナダ保守党(中道右派政党)ハーパー政権に終止符が打たれた。

 若き党首ジャスティン・トルドーが率いるカナダ自由党はなぜ空前の大勝利を収められたのか。その最大の理由の1つが、「アメリカ主導によるISに対する爆撃からカナダ軍を離脱させる」というカナダ自由党の主張であった。

祝電をかけたオバマ大統領にトルドー次期首相は・・・

 歴史的大勝を収め、次期首相となるトルドー党首にオバマ大統領が電話で祝福を述べた際、トルドー氏は「カナダ自由党の選挙公約通り、カナダ軍はISに対する爆撃ミッションから離脱する」とオバマ大統領に伝えた。

 オバマ大統領は、カナダ国民の意思決定に対して理解の意を表明した。ただしカナダでの選挙期間中、アメリカ側は、TPP合意とIS爆撃に対するカナダ政府の立場が選挙によって大幅に変更されてしまうことに対して、強い懸念を表明していた。

 アメリカにとっては幸いなことに、トルドー政権になってもTPPに関しては大幅な変更は生じないようである。しかし、アメリカ主導のIS爆撃からカナダが離脱することは大きな問題である。1カ国でも“仲間”の数が多いことを望んでいるアメリカにとっては好ましからぬ選挙結果となってしまったようだ。

(ちなみに、イラクならびにシリア領内のIS爆撃を実施しているのは、アメリカ、オーストラリア、カナダ、フランス、ヨルダン、モロッコ、イギリスの7カ国。イラク領内だけのミッションに参加しているのはベルギー、デンマーク、オランダ。シリア領内だけ参加がバーレーン、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、トルコである。)