9月10日、自民党の山本幸三衆議院議員はブルームバーグとのインタビューで「10月30日の日銀金融政策決定会合は、追加金融緩和のいい機会だ」と述べた。山本議員に象徴されるように、日銀の追加金融緩和を求める声は根強い。
9月14、15日の日銀金融政策決定会合前も、市場関係者の中には追加金融緩和を期待している向きがあった。しかし、日銀は現状の金融政策の維持を決めた。むしろ、景気判断では新興国経済の減速により、「輸出や鉱工業生産が横ばい圏内の動きとなっている」とし、判断を一部下方修正した。だた、この景気判断の一部下方修正が10月の追加金融緩和期待を高める結果にもなった。
10月の展望レポートが追加金融緩和の引き金に?
黒田東彦日銀総裁は、就任時の2013年4月、「2年程度を念頭に消費者物価の上昇率を2%にする」という物価安定目標を打ち上げた。しかし、実際にはその実現目標は「2年程度を念頭」から「2015年度を中心とする期間」に、そして「2016年度前半頃」と、どんどん後ずれしており、2%の実現すら危ぶまれている状況だ。
10月30日の金融政策決定会合では、半期に1度の「経済・物価情勢の展望」(いわゆる展望レポート)の見直しを踏まえて、政策決定が行われる。この展望レポートでは、前回7月の展望レポート時の経済・物価見通しを下方修正する可能性が高いと見られている。そのため、10月30日の決定会合では、展望レポートの経済・物価見通しの下方修正を受け、追加金融緩和が実施されるだろうというのが、市場関係者の多くが持つシナリオとなっている。