「2年程度の期間を念頭において、できるだけ早期」に消費者物価(CPI)の上昇率2%を達成するとして黒田東彦氏が日銀総裁に就任したのは、2013年3月20日。2年程度で2%の消費者物価上昇率という総裁就任時の公約は期限を過ぎたが、達成されていない。「異次元緩和」という黒田政策の“賞味期限”は切れたのだろうか。
言い回しが変わった目標達成時期
日銀が政策目標としている消費者物価は、コアCPI(生鮮食品を除く全国総合、消費者物価の影響を除く)で、2015年1月分が+0.2%、2月分は0.0%となった(以下、消費者物価はコアCPIを指す)。
こうした結果を受け、4月8日の日銀金融政策決定会合では、現状の物価に対する評価は、「0%程度となっている」に修正された。3月までは「0%台前半となっている」と記述されている。2年で2%の消費者物価上昇率の達成ができなかったことは明らかだ。
それでも、黒田総裁は「2年程度を念頭にきるだけ早期」に物価安定目標を実現する方針に変化はない、と強弁する。円安による企業業績の回復と個人消費の持ち直しにより、「物価の基調は着実に改善している」とする。「原油価格の下落による影響がはく落し、今年の秋以降、物価上昇率はかなり加速していく」と強気の見通しを崩さない。
しかし、実際には2年程度で2%の消費者物価上昇率達成という目標達成時期は微妙に修正されている。「2年程度」は今や「2015年度を中心する期間」という言い回しに変わった。