安倍晋三総理にとって、それはショッキングだったし、先行きが不安で仕方がないに違いない。8月17日に発表された2015年4~6月期GDP(国民総生産)速報値が、前期比年率-1.6%とマイナス成長に沈んだのだ。
前年比でもわずか0.1%増という状況で、胸を張って「アベノミクスの成果が表れ、景気は回復し、デフレ脱却に向かって進んでいる」などとは言えたものではない。
何よりも問題なのは、GDPの約6割を占める民間最終消費(個人消費)の伸び率が実質・前期比年率で-3.0%とGDPの大きな押下げ要因となっていること。これは、近年では2011年の東日本大震災直後、2014年4月の消費税8%への引き上げ後に次いで悪い数字だ。
果たして、これで2017年4月から消費税率を10%に引き上げることができるのだろうか。
8%への引き上げから1年、再び沈む個人消費
GDPは消費税率の引き上げに向けて、景気を判断する重要な経済指標だ。2013年10月1日、安倍総理は2014年4月からの消費税率8%に引き上げ決定にあたり、その理由として、アベノミクスの3本の矢により経済は回復の兆しを見せており「実質GDPが2四半期連続で年率3%以上プラスとなったこと」などを挙げた。