本年3月18日、ロシアによるクリミア併合1周年の日、クレムリンを訪れた南オセチア(グルジアからの分離派支配地域)のリーダー、レオニード・チビロフ氏はロシアのウラジーミル・プーチン大統領と一層の協力関係を進める協約に調印した。
ロシアの黒海再進出
4か月前にもロシアは同様にグルジアから事実上の独立状態にある黒海沿岸のアブハジアと似たような協定を結んでおり、軍事・経済両面で両地域の統合/一体化に向けての動きが加速している。
この南オセチアとの調印については、もともと3月11日に予定されていたが、様々な憶測を呼んだプーチン大統領の謎の雲隠れによって一度キャンセルされ、クリミア事変1周年と日付が重なったのは一応偶然とされている。
しかし、こうした一連の動きは東ウクライナの情勢も含めて、昨年から続くロシアの「黒海再進出」の動きと絡めて考える必要があることは言うまでもない。
最後にも触れたいが、どうしても国家と領土の問題はナイーブな議論に流れやすい。しかし、ロシアの国益を第一に押し出すロシア現政権の動きを冷静に見るには何より一度クリミアの地政学的重要性について確認する必要があるだろう。