資本主義と民主主義の政治は、基本的に国民の支持を基盤とする「親民政治」である。そのため、政治家はできるだけ親しみやすさを演出しようとする。さもなければ、選挙民から票を集めることができないからだ。
だが、選挙民の代弁者としての役割を果たす政治家は、往々にしてポピュリズムの政治を行いがちになる。
ポピュリズムは選挙民に迎合する動きであり、正義であるとは限らない。選挙民はそれぞれの立場から政治に期待を寄せる。また、選挙民が知り得る情報にはもちろん限界がある。そのため、ときには民主主義の政治は間違った方向へ行ってしまうことがある。
社会主義の指導者には「神秘性」が必要
それに対して、社会主義の政治は、指導者の権威を根拠に国を動かし、人民を動員する。したがって、社会主義体制の指導者にはある種の神秘性が必要となる。そのため普通の人としての一面はできるだけ人民に見せないようにする。指導者が神秘的であればあるほど、人民からの崇拝が高まるのだ。