日本の大企業では、よくこういう現象が見受けられる。部下が上司に本当のことを報告せず、上司が聞きたいグッドニュースだけを報告する。こういう媚びる社員は往々にして上司に気に入られ、出世する。それに対して、耳に痛い話を上司に報告する部下は嫌われ、子会社などに左遷させられてしまう。
「良薬は口に苦し」と言われるが、誰もが口に苦い薬を飲みたいわけではない。実はこれこそが、企業を凋落させる一番の理由である。
こういった病気は日本の大企業だけでなく、中国の社会と政治においても蔓延している。ここ十数年来、政府を批判し民主化の政治改革を求めて建設的な意見を述べる知識人が多数拘束されている。
今年、習近平国家主席は一部の文化人を集め、文学芸能のあり方について談話を発表した。その席上、水墨画家の範曾氏は習近平国家主席を「皇帝」と称える詩を発表した。招集された文化人たちは、政府が芸術創作に介入する問題点について誰も指摘しなかった。これでは中国の芸術創作はいつまで経っても政府共産党宣伝の道具のままである。
数年前に中国で大規模な反日デモが起きたとき、若者は「愛国無罪」のプラカードを掲げた。それは自分たちは愛国者であると標榜するプラカードだった。
しかし、「愛国無罪」のプラカードを掲げる若者は本当に愛国者なのだろうか。自分を愛国者と標榜する者たちは、自国民をたくさん雇用する日本企業を攻撃し、破壊した。その結果、失業した人も少なくなかった。どう見ても彼らは愛国者ではなく単なる暴徒であった。
目にあまる共産党幹部の横暴ぶり
ニューヨーク在住のある中国人画家がイタリアを訪れたときの話だ。バスの中で若い中国人カップルに出会った。白人の年寄りの乗客が乗り込んでくると、そのカップルはさっと立ち上がって席を譲った。画家はそれを見て「彼らこそ国を愛する者だ」と感銘したという。