どこまでも続く地平線、平原で草を食む牛、のどかに回る風車、咲き乱れるチューリップ・・・。万人が持つオランダのイメージというと、このような感じになるのではないか。

風車とチューリップのイメージを覆す港湾都市、ロッテルダム

 この国を訪れる旅行客の多くは、首都アムステルダムを見聞し、市郊外へ足を伸ばし、抱いていたイメージどおりのオランダを体験できた、と満足げだ。彼らの中には、16世紀の建築物が並び立つアムステルダムを、「アンティークのような古都」と表現する人もいる。

 しかし、オランダ第2の都市・ロッテルダムを訪れると、彼らはアムステルダムとの差に唖然とする。

 確かにロッテルダムは、アムステルダムとは異なる様相の街である。高層ビルや斬新なデザインの建物がマース河沿いにそびえ立つその様子は、「マース河のマンハッタン」とも称されることもうなずける。

 ロッテルダムは第2次世界大戦中にドイツ軍から攻撃を受け、市街のほとんどが破壊された過去がを持つ。その後、市を挙げて復興に力を注いだ甲斐があり、現在は欧州一の規模を持つハブ港として、5大陸を結ぶ貿易の地位を不動のものにしている。

 過去を忘れたかの如く、近代都市としてよみがえったロッテルダムは、さらに新しい顔を持つ都市として進化し続けている。市は2010年以降、観光客誘致に特に力を入れ始めているのだ。

 国内外を問わず、訪れる人たちに忘れ難い思い出を作ってもらえるような観光地を目指して、日夜、変化し続けていると言っても過言ではないだろう。

夕闇に浮かぶロッテルダム(筆者撮影)