ここ数年続いているパリのホテル革命。新しい格付け基準が設定されたのを機に、高級ホテルの大規模な改装が相次いで進行中だ。

 「リッツ」「クリヨン」「プラザ・アテネ」といった老舗が扉を締め、数年にわたる大工事を経ての再生を期しているが、今年5月には数々の歴史を秘めた左岸のホテル「リュテシア」もそれに加わった。

 一方、この流れと並行して外国資本の名門が続々参入。「ロワイヤル・モンソー」「マンダリンオリエンタル」「シャングリラ」ときて、この夏にはいよいよ「ペニンシュラ」が開業する。

1908年創建の由緒ある建物が高級ホテルに変身

クレベール大通りに面したファサード。ガラスの屋根の下は広々としたテラスになっていて、ここで食事ができる(著者撮影、以下同)

 8月1日の開業を前に、先日記者発表が行われた。

 場所は凱旋門からすぐ。広場から放射状に伸びる通りのひとつ、クレベール大通りに面したファサードは長い間大きな覆いに包まれていたが、満を持して姿を現したホテルは、ガラス張りの屋根が翼を広げるようにして人々を迎え入れている。

 階段の上のテラスには生演奏のマーチが響き、朝からシャンパンの栓が抜かれるという具合になんとも晴れがましい。

 豪華なインテリアのサロンで「ペニンシュラ」ブランドを展開する「香港上海ホテルズ社」の最高経営責任者(CEO)、そしてコラボレートしたカタールのグループ「カタラ・ホスピタリティ」ディレクターがスピーチしたあと、できたてほやほやの施設の見学とあいなった。

 そもそもこの建物は1908年の創建。ホテルとしてしてばかりでなく、ユネスコや外務省の別館として使われた歴史があり、アメリカの作曲家、ジョージ・ガーシュインはここで「パリのアメリカ人」を作曲(1928年)、ベトナム戦争終結のためのパリ協定調印(1973年)が行われたのもこの場所だった。

記者発表の舞台は、ミュージアム級の建築意匠が施されたサロン
フランスの職人たちによる修復作業でよみがえった美しい装飾