半導体最大手の米インテルは8月19日、ウイルス対策ソフト大手のマカフィーを買収すると発表した。
マカフィーの発行済み株式を1株当たり48ドルで買い取るというもので、この価格は前日のマカフィー株の終値を60%上回る。総額は76億8000万ドルで、インテルにとって過去最大の買収だ。
PCソフト事業に進出か?
これによりマカフィーは、インテルの100%子会社となり、同社の「ソフトウエア&サービス」部門の監督下に置かれる。
インテルは今回の買収について、「コンピューターにとって安全性は省電力やネットへの接続性と同様に重要」とし、セキュリティー技術とハードウエアを組み合わせて提供できるメリットを強調した。
しかし米ウォールストリート・ジャーナルなどの欧米メディアによると、本業の分野を越えてソフト事業に乗り出す同社の戦略を疑問視する声が広がっている。また60%という高額なプレミアムにアナリストらが懸念を示しているという。
この記事では、業績好調のハイテク企業がその潤沢な資金を使って企業買収し、成長の速い新市場に進出するという動きだと伝えている。
例えば、米オラクルは高性能サーバーの米サン・マイクロシステムズを買収し、サーバーとソフトウエアを組み合わせたソリューションとして企業顧客に提供している。
米ヒューレット・パッカード(HP)はスマートフォンの米パームを買収、パソコン世界最大手の同社が携帯電話分野に本格進出しようとしている。
「従来のウイルス対策はもう限界」
インテルとマカフィーは、セキュリティーに対する不安が増しており、これからは従来にない手法が必要になると話している。これまでのようにセキュリティーソフトをパソコンにインストールし、アップデートを繰り返すという方法はもはや限界に来ているというのだ。
セキュリティー機能を組み込む新たなハードウエアの設計において、この買収は重要なステップになると説明している。
具体的には、マカフィーの既存ウイルス対策ソフトそのものを利用するのではなく、マカフィーの技術者に設計に加わってもらい、新たなセキュリティー機能をマイクロプロセッサーに組み込む。
インテルとマカフィーはこれまで提携関係にあった。マカフィーのセキュリティー技術をハードウエアに組み込み、ノートパソコンが盗難に遭った場合などにデータを保護するといった機能を提供してきた。