今回の選挙は日本人にとって今後の進路を決める重要な選択の機会となろう。これまで「失われた20年」を喫した日本人は、将来について後ろ向きになる傾向がある。だからこそアベノミクスが人気を博したのであろう。

 確かに、安倍政権が誕生してから株価が上昇し、円安が進んだ。輸出依存の経済であれば、自国通貨が安くなることで輸出が増え、外需が経済を支えてくれる。しかし、20年も円高が続いた結果、日本の製造業の多くはすでに海外に拠点を移していた。その結果、円が70円台から120円近くまで安くなっても、貿易赤字が解消されていない。

 また、株価は安倍政権が誕生する前より倍ぐらいまで上がったが、実体経済は必ずしも好転しているとは言えない。そこがアベノミクスの3本目の矢(成長戦略)に期待がかかるゆえんである。

 そして、安倍政権にはもう1つの目玉がある。それは集団的自衛権の行使である。憲法を改正するまでには情勢が十分に煮詰まっていない。そこで安倍政権は憲法解釈を改めることで集団的自衛権を行使できるようにした。これについては各国の間で賛否両論がある。とりわけ、中国と韓国は安倍政権に対する警戒を強めている。

どこまでも生真面目なモノづくりの国

 いよいよ本格的な冬が到来した。私はいつもこの時期にアレルギーで鼻がむずむずする。先日、病院へ点鼻薬をもらいにいった。いつものことなので先生も慣れていて、点鼻薬を2本処方してくれた。

 その処方箋を持って薬局に行ったところ、20分以上待っても呼ばれない。よく見たら、7~8人の薬剤師が井戸端会議のように集まり、何か話し合っていた。急いでいたので1人の薬剤師に「どうしたんですか? あと、どれぐらいかかりますか」と聞いてみた。するとその薬剤師は、こう答えた。「先生は処方箋に『1回2噴霧』と書いてますけど、1回につき片方の鼻腔に1回ずつ噴霧すればいいのか、それとも片方の鼻腔に2回ずつ噴霧すればいいのか、確かめているところです」