10月に田園調布で、75歳の大病院の院長が妻を道連れに無理心中を図ったと思われる事件が発生しました。妻の年齢が30歳だったということで世間の耳目を集めていますが、別の意味で、この事件を興味深く見ている人たちがいます。猟師たちです。

 日本には職業として猟師をしている人はほとんどいませんが、狩猟免許を取り、趣味として猟をしている人はいます。

 大日本猟友会の統計によれば、若者にとって狩猟は以前ほど人気がないらしく、猟師の年齢は年々高齢化し、数も減少しています。この流れは以前から変わらないのですが、近年は特に減少のスピードが高くなってきています。

 その大きな原因となったのが、2007年末に佐世保のスポーツクラブに男が侵入し、散弾銃を乱射して2人を殺害、6人に重軽傷を負わせ、犯人が直後に自殺した事件です。

 こうした事件の発生を防ぐことを大義名分に、近年は猟銃保持の規制が厳しくなっています。しかしその規制があまりにも厳しいため、嫌気がさして狩猟をやめてしまい、銃を手放す人が増えているのです(表参照)。

猟銃所持者数の推移
(出所:「日猟会報」大日本猟友会2014より作成)