(1) 日本に対する失望解消するか

 9月2日の安倍政権の内閣改造、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)改革に指導的であった塩崎氏の厚生労働大臣内定の報により、日本株式は1月以来の高値となった。加えてドル円レートも米国の好調なISMデータ(製造業景況感指数)の発表を受けて、年初来の高値を更新した。政策と米国経済が日本株式と円に大きく影響していることが如実に示された。

【年初来世界最悪の日本株式パフォーマンス、喧伝されたアベノミクスの息切れ】

 先週まで日本株のパフォーマンスは振るわなかった。昨年初(2013年初)来では依然世界最高だが、年初(2014年初)来では世界最低の騰落率となり、海外投資家は日本株式に対しては傍観者に徹してきた。

 アベノミクス期待剥落との見方が「ファイナンシャル・タイムズ」や「ウォールストリート・ジャーナル」などの欧米経済紙に相次いで現われていた。確かに、昨年後半からの景気回復趨勢は4月の消費税増税で途絶えた感がある。

 4~6月GDPは年率6.8%の大幅マイナス成長となり、消費税増税前の駆け込み需要の反動減からの回復は鈍さが現われた。加えて夏場の悪天候が消費に悪影響を与えている可能性もある。

 7~9月以降は消費税増税による一時的かく乱が消えることで成長軌道は復元されるだろうが、力不足は否めない。筆者はデフレ脱却とアベノミクスの成功は疑いないと考えるが、市場のコンセンサスはそこまではいっていない。株高円安トレンドを確かにする継続的政策発動が求められる。

図表1 年初来世界株価推移
図表2 昨年初来世界株価推移
図表3 海外投資家の日本株投資推移