本記事は8月18日付フィスコ企業調査レポート(アクトコール)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 
佐藤 譲
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サービス開発と業務提携先開拓で業績拡大へ

 アクトコール<6064>は住宅設備専門のコールセンターと、全国対応可能な駆けつけ協力会社ネットワークをもとに、住まいに関わるトラブルを解決する緊急駆けつけ等の会員制サービスを展開する。従来の不動産仲介会社や、管理会社に提供している賃貸住宅向けサービスのみならず、持家を対象としたサービスも開発、市場を拡大している。全国の宅建業者や工務店などへの拡販を通じ、契約件数を拡大していく戦略だ。

 2014年11月期第2四半期累計(2013年12月-2014年5月)の連結業績は、売上高が前年同期比32.5%増の1,162百万円、営業損益が69百万円の赤字(前年同期は32百万円の黒字)だった。前第3四半期より新規に連結化した家賃収納代行事業の売上高が加算されたこと、不動産総合ソリューション事業の売上高が伸びたことで大幅増収となったが、主軸である住生活関連総合アウトソーシング事業の会員制サービスにおいて冬の凍結等による影響で入電件数や出動件数が想定以上に増加したこと、コールセンターの規模拡充に伴う人件費増などが減益要因となった。

 2014年11月期の通期業績は、売上高が前期比52.1%増の2,976百万円、営業利益が同186.8%増の282百万円と期初計画を据え置いている。第3四半期以降は、大手不動産流通会社との業務提携により、緊急駆けつけサービスの契約件数拡大が見込まれるため。また、不動産総合ソリューション事業においても、3件の不動産開発プロジェクトが現在動いており、うち2件の完了で、利益貢献が期待される。業績が計画どおり達成されれば、未定としている配当に関しても実施する可能性が高い。

 住生活関連総合アウトソーシング事業では、2013年12月に株式会社アクトプランニングを新設し、アクトコールの緊急駆けつけサービスのインフラであるコールセンターを生かした自立高齢者向け生活支援サービスを開発。2014年4月には株式会社PLUS-Aを新設。アクトコールの緊急駆けつけサービスの利用会員へ退去の際の引越業者の手配や、役所や公共料金の住所変更手続き等を一括して手配する住替えコンシェルジュ事業を展開する予定で、こちらは来期以降売上に影響する見込み。また、不動産総合ソリューション事業では、2013年12月に株式会社サーフィスを子会社化した。現在渋谷で2棟のサービスオフィスの運営を受託し、また、サービスオフィス専門のポータルサイトを自社運営している。

Check Point

●緊急駆けつけに付加サービスを組み込んだ新商品で対象市場を拡大
●14/11期計画は据え置き、業務提携先開拓で業績拡大見込み
●約3,000万戸の持家市場へのアプローチで利用者拡大へ

会社概要

住生活関連総合アウトソーシング事業を軸に事業拡大中

(1)事業内容

 同社の事業は、主に住宅利用者向けの緊急駆けつけサービスを主力とした住生活関連総合アウトソーシング事業、子会社で展開する不動産総合ソリューション事業と家賃収納代行事業の3つのセグメントで構成されている。各事業セグメントの概要は以下のとおり。