日本で一番人気のある歴史的人物が坂本龍馬なら、韓国で一番人気のある歴史的人物は何と言っても「李舜臣(イ・スンシン)将軍」である。李舜臣(1545~1598)は、朝鮮時代の武将で、韓国では英雄を超えて「聖雄」として称えられている。

韓国史上最高の観客動員数を記録した映画、鳴梁(ミョンリャン)

ミョンリャンを鑑賞する前に映画の衣装を見ている大統領(青瓦台の資料から)

 ちなみに韓国の景福宮(王宮)前の大通りに王宮を背にして堂々と立っている銅像が「李舜臣将軍」なのは韓国人なら誰でも知っている。

 李舜臣は、乱世の英雄だと言える。国のために命をかけて外敵(日本水軍)と戦い勝利を上げるが、ついには戦争中に非業の最期を遂げる。武将でありながら文才も兼ね備えており、彼の戦争期の日記をまとめたものが「乱中日記」として残っている。

 こうしたドラマチックな彼の生涯は本、ドラマ、映画などの題材、素材となっている。8月11日に動員観客数1130万人を超えた映画「鳴梁(ミョンリャン)」は、まさに李舜臣将軍を題材にした映画である。

 観客数が1000万人を超える映画はこれまでも何本かあるが、「鳴梁(ミョンリャン)」は公開12日目に1000万人を突破(映画振興委員会の累計発表)するという韓国映画史上最短記録だ。

 観客数1000万人を超える時点で、経済的効果も上がっている。李舜臣関連書籍の売り上げも上がり、彼と切っても切れない亀甲船(コブクソン)や板屋船(朝鮮時代の戦船)のおもちゃも売れている。

 「鳴梁(ミョンリャン)」とは、李将軍が日本水軍と戦った1597年の「鳴梁海戦」から取った言葉である。彼は何度か日本水軍と戦って勝利を収めるが、この海戦はたったの12隻で330隻の大軍を迎え撃ち勝利した歴史に残る海戦である。

 青瓦台の発表によると、朴槿恵(パク・クネ)大統領も観賞し、現在他の政治家たちも続々と「鳴梁」観賞に走っているという。