米国の携帯電話サービス最大手のベライゾン・ワイヤレスと同2位のAT&Tなどが組み、スマートフォンなどの携帯電話向けの電子決済システムを開発すると報じられている。
米ブルームバーグの8月3日付の記事によると、両社はシステム開発のための合弁会社を設立する予定だ。
米携帯電話第4位のT-モバイルUSAと、クレジットカード大手のディスカバー(Discover Financial Services)、金融大手のバークレイズも参加し、9月末までにジョージア州アトランタなどの米国の4都市で実証実験を行う計画。
これが成功すれば年末までに規模を拡大して商用サービスを始めると事情に詳しい関係者は話している。
米国で普及しないモバイル決済
日本では「おサイフケータイ」として広く浸透しているモバイル決済だが、米国ではまだ普及していない。
理由は様々にあるようだが、米ウォールストリート・ジャーナルによると、技術的な問題や規制の問題に加え、米国民の需要がないことや、金融機関との連携のなさなどが要因という。
競合関係にある通信3社がこのタイミングで連携するのには、より強力なライバルが存在するからだとウォールストリート・ジャーナルは伝えている。その3社にとって最も脅威的な存在は米アップルだ。
記事によると同社はモバイル決済や電子財布技術に関する特許を出願しており、スマートフォン「アイフォーン(iPhone)」と音楽やアプリの販売サービス「アイチューンズ・ストア(iTunes store)」を大規模な決済プラットフォームにする可能性がある。
同様にして米グーグルにもスマートフォン向け基本ソフト(OS)の「アンドロイド(Android)」がある。また同社は「チェックアウト(Checkout)」と呼ぶネット決済サービスがあり、これらを基盤にモバイル市場への参入を狙っているという。
ビザやマスターカードも参入していたが
5社が開発するモバイル決済の概要をウォールストリート・ジャーナルがイラストで説明している。それによると、スマートフォン本体に決済ICチップを挿すか、あるいはICチップの付いたステッカーを端末に貼っておき、それを店頭の読み取り機にかざすと近距離無線通信によって情報がやりとりされる。