5月12日、秋田県の佐竹敬久知事が定例記者会見で「農業県ほど人口は減り、農業県の中でコメのウエートが大きいところほど人口減少は著しい」と発言したことが話題になっています。

 知事は、かなりの勇気を振るって発言したようで、県知事として初めてタブーに触れたとお考えのようです。確かに県知事の発言としては、タブーだったのかもしれません。

コメから畑作物へシフト

 発言の内容自体は、実に当たり前のことです。例えば100ヘクタールの水田があるとしましょう。1農家が平均1ヘクタール作っていた時代なら農家は100軒存在していましたが。1農家が平均20ヘクタール作るようになれば農家は5軒しか必要ありません。農業人口が減るのは当たり前で、他に雇用がなければ95軒の“元”農家は、仕事先を見つけに大都市などに出ていかざるを得ないわけです。

 すなわち、「農業の大規模化」を進めることは、イコール「農村の過疎化」を進めることになるわけです。他に大企業や大きな産業がある地域なら、外に出ていかなくても地元に働き口がありますが、そうした農業外の産業が少ない地域では人口減少が必然となります。

 その影響を今、最も受けているのが秋田県と見られており、従来年1万人ペースだった人口減少は2万ペースになりつつあります。秋田県の総人口が現在105万人程度ですから、県の危機感は相当なものでしょう。

 これではいけないと考えた秋田県は相当前から工場の誘致活動を熱心にしていました。しかし、農業用水と工業用水の取り合いになることを恐れた農家の反対に遭うことが多かったようです。そのため工場誘致が進まず、ますます秋田県を過疎に追い込んできたということなのでしょう。