女性の社会進出を促そうと、安倍政権が掲げる「女性が輝く日本へ」というキャッチフレーズ。一見良さそうに思える言葉だが、実際のところ、この言葉に胸躍らせる女性はどの程度いるのだろうか。

 女性を家庭から出し、“社会進出“を後押ししたとしても、出ていった先の社会では何が起こるのか。長時間労働や非正規化といった課題が男女問わず指摘されている上、保育園の不足をはじめとする育児支援体制の不備が女性たちの前に立ちはだかる。

 外で働いても家庭内での女性の仕事はそう簡単にはなくならない。炊事、洗濯、育児、介護といった家族のための労働は、多くの場合、働く女性にのしかかる。さらに、先の東京都議会や国会でのセクハラやじ問題は、女性を不利な立場に貶める強い圧力の存在を浮かび上がらせた。

 世界有数の「経済大国」であり、「先進国」だと胸を張ってきた日本。一方、女性の地位をめぐる状況は、世界的に見てどんなものなのだろうか。日本とフィリピンの女性のあり方を例にとって、女性の地位について考えてみたい。

外国人記者から同情的発言が相次いだ塩村議員会見

6月24日、日本外国特派員協会で会見を開いた塩村文夏都議(筆者撮影)

 「あまりにも古典的なやじ。不意をつかれた」

 「(議場は、やじを)いさめるよりも、面白がる雰囲気だった。着席してから涙が出た」

 みんなの党の塩村文夏(しおむら・あやか)都議は6月24日、日本外国特派員協会での会見で、都議会でセクハラ野次を受けた際の心境をこう証言した。会見には、海外メディアの特派員や日本人記者らが多数つめかけていた。

 東京都議会で6月、一般質問に立った塩村都議が妊娠や出産に悩む女性への支援について質問をした際、女性蔑視的な野次が男性都議から投げかけられた。その上、こうした野次について周囲からとがめる言葉は出ず、逆に面白がるよう雰囲気になったという。

 会見では、外国人と日本人それぞれの記者が塩村都議に、同情的な発言を繰り返した。

 シンガポール出身の女性記者は、塩村都議に対し、「女性の党をつくって徹底的に闘おうという気持ちはないのか?」との質問を投げかけた。また、フランス人の男性記者は、塩村都議へのセクハラやじについて、「同情する」と率直な感想を述べた。

 一方、ある女性記者は家庭内暴力に触れた上で、都議会でのやじは「議会内暴力だ」と指摘した。その上で、今回の一件でメディア露出の増えた塩村都議に対し、「これから数カ月ずっと見られていると思ったほうがいい。何かあればけちをつけられる」と助言した。