今年の梅雨は、しとしと降る長雨どころか、傘をもへし折るような局地的豪雨が特徴だ。関東各地ではゲリラ豪雨や大粒の雹に見舞われた。道路や線路の冠水、床上浸水や崖崩れの被害なども報道されている。
異常気象は中国も同じだ。干ばつ、雹、濃霧など、自然災害に占める“気象災害”の割合は7割を超える。地域差もあるが、最も深刻な点は「雨が降らない」ことにある。その結果、中国は「慢性的な水不足」に陥っている。特に一昨年から昨年にかけて渇水状態が続いた。669都市のうち水不足に陥っている都市は400に達する。また中国人1人当たりの平均水資源占有量は約2200立方メートルと、世界平均の3割にも満たない。
水質汚染が水不足を助長
ここ数年、北京を中心とした中国北部における水不足は際立っている。中国紙は「2011年、北京の1人当たりの水資源は134立方メートル、天津では116立方メートルであり、干ばつの状況は中東のヨルダンや北アフリカのリビアに等しい」と報じる。
北京ではすでに、水を大量に使用する製糸業やセメント業などの工場を閉鎖したが、その一方ではゴルフ場やスーパー銭湯などの「水を大量に使用するサービス業」が拡大を見せている。
中国南部の雲南省では2014年6月、ある公聴会が開かれた。雲南省では4年連続の干ばつと急速な都市化による供水人口の増加から深刻な水不足に直面しており、省都の昆明市では人工降雨や人工防雹など「人工的に天気を操作する方法」を積極的に取り入れようとしている。公聴会の目的は、一般住民に人工降雨への理解を求めることにあった。
さらに、水質汚染が水不足を助長する。2014年4月、「甘粛省蘭州市の水道水から、安全基準を大幅に上回るベンゼンが検出された」と報じられた。原因は27年前の爆発事故で漏れた油が地下水に混入したためだという。
こうした水質汚染の事例は数え上げればきりがない。中国南部は基本的に水資源が豊富だとされているが、多くの川が汚染されている。ゴミ処理場の近くを取水場にしていたメーカーもあり、最近はボトリングされた飲料水でも安心して飲めない。上海駅で乗客に無料で配られるのはチベット産の飲料水だ。ついにチベットブランドが「安心」の代名詞になる時代になったのだ。